新型コロナウイルス対策

現在、日本は新型コロナウイルス感染症の流行第5波のただ中で、さらなる感染拡大傾向にあります。これまでにない感染者の急増の原因は、いわゆる自粛疲れやコロナ慣れなど、様々な要素が絡んでいると思いますが、大きな要因の１つにウイルスの変異がある、と言ってよいでしょう。
Delta variant、日本では「デルタ型変異ウイルス」「デルタ株」（以下、デルタウイルス）などと言われている新型コロナウイルスは、これまでよりも感染力が強くなったことがわかっています。

このため、今までは大丈夫だった行動でも、容易に感染に結びついてしまう危険性があります。たとえば、今までは密が１つまたは２つの場合には、感染リスクはそこまで高くありませんでした（感染が生じたケースもありますので、ゼロリスクだったことはありません）。けれどもこのデルタウイルスでは、密が１つでも、かなり感染リスクが高いと考えるべきと思われます。厚生労働省でも、「３つの密を避けましょう」から「ゼロ密」へと提言を変えています。

感染力が強くなったとはいえ、ウイルスの感染経路などが大きく変わったわけではなく、マスク、距離、換気、手洗いといった従来の感染対策は変わりません。やらなくなってしまったこと、緩めてしまったことはありませんか？たとえば布マスクを不織布マスクにするなど、対策レベルを一段階あげてみましょう。

また現在では、予防接種が基本の感染対策に加わりました。現在日本で接種されているワクチンは、感染リスク、重症化リスク、死亡リスク、他者へ感染させるリスクについて、どれも効果があることがわかっており、これはデルタウイルスでも同様です。国内の病院でも、予防接種を完了した人が入院するケースはかなり稀だという声が、現場の医師たちからも上がっています。
予約をとりづらい状況が続いていますが、積極的に予約をとるように努力してください。国が運営する大規模接種会場、自治体の集団接種会場のほか、近隣のクリニックでうけられる場合もあります。当社で受けられる職域接種の情報は、その都度、お知らせをしています。

お盆の時期ですので、帰省を考えている方もいらっしゃると思いますし、夏休みで遊びに行きたい方もいらっしゃるでしょう。ですが、今だけは、なんとかやめていただきたいと思います。どうしても今でなければならないかどうか、よく考えてみてください。帰省先や旅行先で万が一、発症したら、その地域の医療逼迫を後押ししてしまいかねません。ご両親が予防接種を完了していたとしても、絶対に感染させないとは言い切れません。
また、旅行や帰省のどこかで、自分がウイルスをもらってきてしまう可能性も十分にあります。
今は、専門家の多くが、できるだけ旅行・帰省をしないでほしいと訴えています。ワクチン接種率が上がれば、今よりもずっと安全に、帰省や旅行を楽しむことができるでしょう。それまでのあと少しの間、自分自身や周囲の人の命と健康を第一に考えていきましょう。もちろん、やむを得ぬ事情がある場合もあると思いますので、その際には、上記の感染対策をしっかりと守り、できる限りの安全を確保するようにしてください。

最後に、新型コロナウイルスワクチンの誤情報、いわゆるワクチンデマについて、少しだけお伝えしておきます。現在、日本で広められている誤情報は、「長期的影響がわからないのに安全だと嘘をついている」「短期間で作られたから危険だ」「治験が終わっていないのに実用化しており、人体実験している」「ワクチンで不妊になる」「ワクチン接種した人の息や皮膚から有害物質が発散される」といったものが主なものだと思います。そのほか、マイクロチップが埋め込まれている、５Ｇに接続するなどの荒唐無稽なものまであります。
ワクチンに限らず、ほかの薬剤でも、食物でも、何十年もの安全性を確かめてから販売されたものなどないのに、なぜワクチンだけ、そこにこだわるのでしょうか。少なくともファイザーやモデルナのmRNAワクチンは、従来の薬剤と同じように効果と安全性が確認されたうえで販売されているものです。 そもそもワクチンには、誤情報やデマがつきものですが、今回の誤情報は、アメリカで作られたものが多いようです。このような誤情報が根拠としている記事や論文などは、よく読むと誤訳だったり、元の文章の一部だけを切り取って加工してしまっていたりというケースがよくあります。新型コロナウイルスワクチンについては、公的な情報をきちんと把握し、出所不明な誤情報に惑わされないようにしましょう。

ワクチンに関して不安や疑問がある方は、厚生労働省ホームページ、首相官邸ホームページ、こびナビのＱ＆Ａがわかりやすいので、適切な情報をきちんと確認してください。また、コロワくんサポーターズでは、ボランティアの医師にＬＩＮＥで質問できるプロジェクトを展開していますので、ぜひ利用してみてください。このような情報を見ず、適切な理由なく予防接種を拒否するようなことは、ぜひやめてください。不安な場合は、ひとりで悩まず、上司に相談してください。